偽り
初めに何かおかしいと気づいたのは十代後半の頃だった
それに気づくまでは「運が悪い」「人が悪い」「間が悪い」をひたすら理由にしてきた気がする。
勿論そんな場合も間違いなくあったが
明らかに私は皆と違う、何が違うのか分からない
昔から成績は中の上ほどだった、勉強はした分だけ点数に現れた
容姿は、醜悪でも端麗でもなく平凡そのもので、服装や身だしなみに気をつければでそれなりの評価は得られた
じゃあ何がおかしい?
「普通でない」と気づいた日から、尚更普通に見られるよう努力してきた
普通の人が、「普通」に行うことを「努力」して行う。
まずその時点で最悪な結論に至りそうだったが見て見ぬふり、あたかも元からそこに無いものとしてこれから先ずっと目を逸らし続けることにした。
臭いものには蓋をしろ
ここから先、更に大人になるにつれて、その蓋をし続けた中身がどうなるかなんて、分かっていても成す術は無いのだから。