違う世界線

 

頭が悪い

環境が悪い

五体満足では無い

 

そういう人たちは健常者より辛い立場にあるかもしれない

 

でも健常者と同じ世界に生きて、同じものを見て

見れなくても聞いて、聞こえなくても触れて

そうやって意思疎通が出来る

同じ世界を共有できる

 

私は?

話が分からない時がある

耳が聞こえない時がある

目に写ってるのに認識できない時がある

まるで自分だけ違う世界にいるみたい

 

「足りなければ補えるだけの努力をすればいい」

その信念でなんとかこの歳まで生き抜いてきて

粘って粘って、その分だけ思い知らされた

 

それは努力で補える種類のものでは無かったと。

無駄だった、と。

 

所詮全てガラスを隔てた向こうの世界での出来事だった。

ガラスを磨いて磨いて、クリアにして解像度を上げて「みんな」のいる世界を覗いてるだけだった

「みんな」はガラスが見えていなくて、私もこちら側にいると思ってる。

 

そう、だから私もガラスの存在なんて自分の被害妄想だ、思い込みだと言い聞かせてきた。

 

じゃあなんでそちら側に行こうとする度にぶつかるんだろう、行けないんだろう

無様に何も無いはずの所でぶつかって惨めに腫れて血を流してうずくまる。

 

皆は私がどうしてそうなるのか訳も分からずに心配する。

血も出てない、汚れてもいないその綺麗な姿でうずくまる私を純粋に心配して見下ろしてくる。

 

届かない世界を眺め続けるだけならいっそ